メッセージ
タンゴに出会って10年が経ちました。たくさんの先生やダンサー、パートナーとの出会いがあり、ただただ楽しくて、もっと踊りたくて、気付いたらアルゼンチンに住み、タンゴダンサーとして生活している。。。
タンゴを始めたときの私に聞かせたらびっくりして飛び上がってしまうかもしれません。
あっという間で、そしてあまりにも充実した10年でした。
私が今住むブエノスアイレスという街はよくも悪くもとてもパワフル。
ため息と深呼吸と笑顔で自分を取り戻さずにはいられないところ。人の冷たさと暖かさにもまれて、自分はどちらの生き方を選ぶのか、毎日選択させられています。
タンゴはそのブエノスの厳しさの裏側に隠れた人のぬくもり。
心のどこかに忘れかけた傷をそっと抱きしめてくれるから。タンゴが私をわかってくれるから。。。
踊る楽しさの裏側に、ほんとうはそんな思いも隠れているのではないかと思います。
そして日本にいても、外国人でも、私たちも同じ痛みを持っているから、タンゴにただ惹き付けられているのだと思います。
今の私にとってタンゴは、自分と相手を感じること、受け入れること。
誰かの手を大切に取って、素の相手と自分を抱きしめてあげること。そうできたとき、
きっと人生でも人をいつくしめるようになれるのかなと思います。
ブエノスの人は、それがとても上手。抱きしめ合う心地よさをよく知っている。
本当の自分を見せることから逃げないでいいって知っている。
日本の皆さんにもぜひそれを伝えたい。私たちの持っている奥ゆかしい優しさも、凛とした強さも、
タンゴとであうと何倍にも輝くと思うのです。
テクニックやミュージカリティは必須の基礎です。私のクラスでももちろんそれを教えます。
でもどうしてタンゴを選んだのか、タンゴに選ばれたのか。
クラスを通じてふとその答えのヒントにであっていただけたら。。。
私もまだまだその答え探しの途中です。皆さんとその歩みを共有できたらすばらしいなと思います。